とっとりバイオフロンティアセミナーのご案内

日程:令和7年1月8日(水)16:00-17:30 現地開催のみ
受講料:無料
講師:井上 正宏 氏(京都大学大学院医学研究科クリニカルバイオリソース研究開発講座 特定教授)

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 近年の医学生物学研究における様々な技術革新は、ヒト組織検体の重要性を浮き彫りにしました。医薬品の開発においてヒト組織検体の解析とモデル化はますます発展していくものと考えられます。
 がん医療において、がん疾患の多様性と可塑性が明らかになってきました。同一の診断名でも、治療に対する応答性は患者間で異なり、進行や治療によって、がんは性質を変化させます。多様性の研究は、パラフィンブロック・凍結組織・核酸抽出物の蓄積がありますが、いずれもスナップショット的な情報で、可塑性はそのスナップショットな情報の再構築でしか解析できません。近年、オルガノイド培養法が開発され、より高い成功率で初代培養や継代が可能になりました。がんオルガノイドは可塑性を含め、患者がんの性質を保持しており、がん細胞の応答を評価するモデルとして優れています。バイオリソースとして樹立したがんオルガノイドを凍結保存して「オルガノイドバイオバンク」とする試みが広く行われていますが、課題点も多くあります。

 これまで組織の細断はメスとハサミ、物理的な「すりつぶし」でおこなわれ、挫滅(ざめつ)による組織損傷が激しく、微量検体からのオルガノイド調製は困難でした。講師らは迅速、容易に、挫滅を最小限にしてヒト新鮮組織検体を300マイクロメーター厚の組織片に細断できる新たな組織細断法を開発しました。細断した組織は、培養可能な状態で4℃及びー80℃以下で低温保存でき、検体によっては酵素処理を必要としないオルガノイド調製が可能です。検体の細断保存ができることで、希少疾患などの検体の利用機会の増加につながります。この組織細断法は、広くバイオリソースの有効活用に変革をもたらす可能性があります。
 
本セミナーは事前申込制となっています。
参加ご希望の方は開催当日の正午までにこちらの参加フォームよりお申し込みください。

連絡先:バイオフロンティア推進室(担当: 森山)